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タイトル通り、assholeが沢山出てくる映画。4つのエピソードが淡々と同時進行し、最後に一つになるのですが、カタルシスは無く、空虚な気持ちが残ります。だから駄作だという訳ではなく、この空虚さと、ひしひしと襲ってくる戦慄…が狙いなのかな?
軸が4つあって、それぞれに中心人物が設定されており、各々に個人や家庭の事情があるのですが、同情はしても感情移入する登場人物が選べず、その分のめり込みにくい感もあります。そんな意味で、脚本の出来はイマイチだと言わざるをえないけど、深い印象を残す映画です。原作がいいのかも(でも読みきる自信ないわ) 「シリアナ」とは、シリア、イラン、イラクが統一した単一民族国家のコードネームで、実在の中東再建コンセプト。アメリカにとっては物凄い脅威になりかねないけど、これを傀儡政権にアメリカが牛耳ることが出来れば・・・石油利権を一掌に握ることも出来そうです。現実世界では、9/11での失態を含め、かつてのスーパースパイ機関のイメージを失ったCIAですが、映画の中では相変わらず勇ましい存在。そんなCIAも、この映画では単なる政治的機関の一つであり、司法省の道具に過ぎません。 かつてワシントンD.C.に住んでいた私としては、DC周辺を舞台にした場面は本当に、DCで撮ったのかなと思えました。実は、「とんでもDC」とか「なんちゃってDC」の映画って多いんですよね。例えば、黒人弁護士ベネットの家、議事堂の裏キャピタルヒル地区は、本当にあんな家ばかりで、実際に弁護士が一杯住んでます。私が住んでた時、同じブロックで弁護士のいない家はウチだけだったほど(笑) 舞台となっている中東の国は、特定されてはいなくとも、男性の真っ白な普段着カフタンや、族長の黒と金の正装、白いスカーフに金の輪っか、王政、海がある、マラガに別荘、等々からサウジアラビアであることは明白。ただし、サウジに住んだことのある、わに夫に言わせると、あれはサウジで撮影したのではないそうで。そこまで露骨にはできないか(^^; 自国の未来を憂うナシール王子、どっかで見た顔だとずーっと気になっていたんだけど、ほらほら、スタートレックDS9のドクターなのねん。マット・デイモン扮するアドバイザーを別室に呼んだ際の「私はジョージタウン大学で博士号を取り、アメリカを、民主主義を、自由世界を見た。私は我が国を変えたい」という言葉に、なんともいえない皮肉が混じります。 クリントン元大統領の母校でもあるジョージタウン大学(GU)は、ワシントン市内にあり、ここの国際関係学部大学院出身者の主な就職先は米国外務省(State Department)やシークレットサービス、FBI,CIAといった政府機関。多くの教授が、定年退職後の政府高官で、大変に司法省に密着した学校なのです。80年代の青春映画「セント・エルモス・ファイヤ」の主人公7人が、GUを卒業したばかりという設定でしたが、うち一人は政治家を目指して着々とキャリア建設中でした。GUは、そんな政治的野心を持った若者の登竜門でもあり、そのGUで教育を受け、感化された王子の考えが、アメリカの利益に反すると叩き潰される…なんたる皮肉! 冒頭、ベネットが訪れる上司の家も、ジョージタウンにあるとキャプションが出ますが、GUのあるジョージタウンはまた、ワシントン内でも屈指の高級住宅地。かのケネディー元大統領夫妻も上議員時代に居を構えていました。メインストリートであるウィスコンシン・アベニューを横に入ると、石畳の両側に小さな古い家が並びますが、この小さな家々は軽~く1億を超えています。この静かな地域は、選ばれた者の住む地域であり、ひっそりとした佇まいのレストランは、実は密やかに国を動かす会話が行われるパワーハウスだったりします。 現政権が石油利権にべったり密着しているのは、アメリカ人の多くが容認している事実。原理主義者に洗脳され、テロリストにされるパキスタン人青年達の純粋さの哀しさ、理想を追って暗殺されるナシール王子一家の悲劇、中東への思い入れゆえに(?)、かつて自分が暗殺に失敗したナシール王子を助けようとして、一緒に吹き飛ばされるボブ・・・ 息子の事故死以来、離婚の危機にあったブライアン(マット・デイモン)は妻と和解し、ベネットはアル中の父を受け入れ家に迎え入れ、ささやかな庶民的幸せは保たれて、少し暖かな余韻は残りますが、一方で今日もイラクで、アフガニスタンで、多くの兵士達が、一般イラク市民が命を奪われています。何の為に・・・? 本当に哀しく、恐ろしい映画だったと思いました。
by hyperwani
| 2006-03-01 08:05
| どきどき
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